入試直前だからこそ、少し逸れたお話を。

こんにちは、英語科のFです。

一週間後の土曜日は共通テスト初日。
まだ少し先かなって思っていた試験本番が
いよいよすぐそこまで近づいてきました。
。。
で、入試直前ではありますが、だからこそ
少しばかり入試とは逸れた話をしたいと思います。
先日テレビを観ていたら、某局の番組の中で
特に言語学の専門家でもない素人の学生さん
(といっても東大生)が、まったくの個人的趣味で
作ったというオリジナル言語を紹介してたんです。
自分で編み出した言語の発音や文字や

文構造を説明していたのですが、

「日本人が作る言語なんだから
どうせ日本語寄りの言葉になるんだろな」と思いきや
日本語には出てこない発音や文法が所々に出てきて
外国語学部出身の私からすると
なかなか興味がそそられる面白い内容でした。
で、人工言語といえば

「エスペラント語」ってご存知でしょうか?

百数十年前、共通言語を持たない人間同士がコミュニケーションをとるための
国際言語としてポーランドのザメンホフという人が考案したもので、
ネットで検索すればいろいろ情報が出てきますので
興味のある方はぜひ調べてみてください。
私の大学にも、確か「エスペラント語」を学べる講座が
開設されていた覚えがあります。
人工言語ならば、英語や日本語といった自然言語とは違い、
世界中のだれにとっても外国語にあたるので
特定の国や地域の人たちが有利にならない、という意味では

皆が公平に使用できる理想的な世界共通語といえるのかもしれません。

ただ、現在もある特定の人たちの間では使われているものの
少なくとも私たち日本人が普段生活している限りにおいては
エスペラント語の「エ」の字も見聞きする場面は
ないのではないかと思います。
コンセプトは素晴らしいと思うのですが…。
一方、自然言語に話を移しますと
例えば、英語には「polish apples」(リンゴを磨く)
という表現があります。
このフレーズには「相手のご機嫌をとる」
という意味もあって、ちょうど日本語の
「ゴマをする」とニュアンスが似ています。
語源的にどうして英語圏ではリンゴを磨くことが、
日本語圏ではゴマをすることが、それぞれ
相手のご機嫌を取ることになるのかは少し置いといて…
何かしらの歴史的、文化的な成り立ちを経て
外国人学習者から見れば「なんで?」「どういうこっちゃ?」と
思われてしまうような成句や慣用句の数々が
ゴロゴロ転がっているというのが
人工言語とは異なる自然言語の特徴の一つだと思います。
そういった、直訳では如何ともしがたい「違い」の存在を
面倒臭いと思う人も多いと思いますが
自然言語というのは、何語であれ各々それが使われている
文化や歴史といったバックグラウンドを持つ、
発音も文字も文法も何かしらの形でそれらを反映した
まさに人間の生(なま)のことばなのだと思います。
日本やその他世界中の国々において
英語が学ばれたり使用されたりしていることには、言うまでもなく
英語という言語そのものが持つ特性云々ではない
歴史的、政治的、経済的背景があるわけですが、
仮にそういった諸々の事情をいったん度外視して、
知識ゼロの状態から純粋に外国語を学習するとして
「英語と人工言語のどちらを学びたいか」と問われれば、
果たしてどれほどの人が人工言語を選ぶでしょうか。
私は、諸々の事情を取っ払ってもなお、
やはり英語を選ぶ人のほうが圧倒的に多いのではないかと思います。
人工言語であれば、それが育ってきた
歴史や文化といったバックグラウンドは何も存在しないので
先述の「リンゴ」と「ゴマ」のような違いも存在しません。
外国人がイチからあらためて学ぶとしたら、
そういう面倒な違いが存在しない方が学びやすいでしょう。
でも、違いがあるのが人間であり、
違いがあるから面白いんだろうと思います。
こういうたとえが正しいか分かりませんが、
ひたすら平らな地面だけが広がる遊具のない公園よりも
ジャングルジムやブランコやシーソーが
置いてある公園の方が、遊びたいと思うはずです。
そこに何かがあるから、それで何かをしようと思うのであって
そもそもそこに何もなければ、
一切の感情も意欲も生まれないのではないか、と。
私にとっては、英語を学ぶ動機には
そういう人間的要素もあるように感じられます。
単に「文科省が学べというから」とか「大学入試で必ず出題されるから」とか
そういう受動的な理由だけではなくて
歴史も文化も言語も、違いがあるから理解したいと思うのであって、
皆が同じならそもそも理解しようという気にもならないんだって。
違いというのは、そういう知的欲求を燃え上がらせようと
神様がわざと人間に与えた「ご馳走」ではないかと…。
人工言語を扱った番組を観ていて、ふとそんな思いが湧いてきました。
英語好きな人なら、たぶん共感してくれるのではないでしょうか。
でも、逆に英語嫌いの人だと「この人、何言ってるんだ?」と
怒られてしまうかもしれないですが。
共通テスト本番まで、泣いても笑ってもあと一週間。
もちろん真剣勝負なのですが、どうせ同じことをやるなら
少し視点を変えて、面白いとか楽しいとか思える要素を
探してみてはどうでしょうか。
試験も人生も、つらいことが沢山ありますが
でも、結局最後は楽しんだ者勝ちですよ。
勉強だって好きになって、ぜひ楽しみましょう!
以上、英語科Fからのエールでした!

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