数学のはなし

数学科のTです。

 

数学Ⅱ,数学Ⅲの微分の学習ではまず「極限」を扱います。

数学の歴史において,この極限を表現するにあたり,かなりの年月を重ねたとききます。そんな抽象的なものを高校数学で直感的に定義して始まる極限なので,微積分が難しく見えるのは無理もないかもしれません。厳密には大学で学ぶ極限の表現法を待つとして,今日は極限の根本を支える「無限(∞)」について,考えてみましょう。

 

無限とは何か?

「一番大きな数」「とにかく大きな数」と思った人は大間違いです。

 

そもそも,無限は数ではなく概念です。文字通り「限りのないこと」です。とにかく大きい数ということではなく,どこまでいっても終わりがない状態を指す言葉です。「自然数は無限個ある」この言葉を聞いて違和感ないですか?正しくは,「自然数は無限に多く存在する」といいます。

なぜ「無限個」が良くないかは,

①「無限」は状態を表す言葉であり,個数として用いるべきではない

②自然数が数え切れる状態のようにきこえてしまう

などが考えられます。

 

一方で,「無限」には面白い性質があります。

自然数と偶数の個数を比べたとき,(正の)偶数と奇数を合わせたものが

自然数なので

(偶数の個数)<(自然数の個数)

と判断してしまいます。しかし,実際は

(偶数の個数)=(自然数の個数)

となります。

これは「対応」という考え方で,自然数nに対して偶数2nが一対一に対応するので,同じだけ存在するということに起因します。この理屈でいけば,自然数と有理数までもが同じだけ存在するという驚くべき結果に繋がります。

群数列の問題でこのようなことを取り扱った問題があるので興味のある人は是非尋ねに来てください。では。

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